胃癌術後仮性肝動脈瘤が破裂し救命しえた1例

要旨:症例は81歳,男性。胃癌に対して腹腔鏡補助下胃全摘術,Roux-en Y再建を施行した。術後14日目に十二指腸断端縫合不全を認め,computed tomography(CT)ガイド下穿刺によるドレナージを施行した。術後19日目にドレーンより血性の排液がみられ造影CT検査を施行したところ,固有肝動脈に15mm大の動脈瘤を認めた。緊急血管造影検査の直前に動脈瘤破裂をきたし,ショック状態に陥ったが,coilingによる塞栓術で止血した。一過性にASTは8,800U/L,ALTは6,000U/L,T-Bilは5.5mg/dLまで上昇し,酸素,プロスタグランディンE1,およびトロンボモジュリンの...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 33; no. 6; pp. 1071 - 1075
Main Authors 久保, 博一, 國崎, 主税, 大西, 宙, 原田, 真吾, 井上, 英美, 田中, 優作, 大山, 倫男, 渡部, 顕, 小野, 秀高, 上田, 倫夫, 大島, 貴, 大田, 貢由, 福島, 忠男, 遠藤, 格
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2013
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Summary:要旨:症例は81歳,男性。胃癌に対して腹腔鏡補助下胃全摘術,Roux-en Y再建を施行した。術後14日目に十二指腸断端縫合不全を認め,computed tomography(CT)ガイド下穿刺によるドレナージを施行した。術後19日目にドレーンより血性の排液がみられ造影CT検査を施行したところ,固有肝動脈に15mm大の動脈瘤を認めた。緊急血管造影検査の直前に動脈瘤破裂をきたし,ショック状態に陥ったが,coilingによる塞栓術で止血した。一過性にASTは8,800U/L,ALTは6,000U/L,T-Bilは5.5mg/dLまで上昇し,酸素,プロスタグランディンE1,およびトロンボモジュリンの投与を行い,第59病日に改善を認めた。十二指腸断端縫合不全,腹腔内膿瘍が軽快するのを待って第87病日に退院した。今回われわれは,胃癌術後仮性肝動脈瘤破裂の1例を経験したので,文献的考察を加えて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.33.1071