低位前方切除を施行した血友病B型併存直腸癌の1例

症例は60歳,男性.約20年前より血友病Bと診断され,膝関節出血等認め,約5年前より第IX因子の補充療法をされていた.血便認め精査にて直腸Ra前壁に約3cm大の2型病変認めた.1-2週に1回の間隔で第IX因子製剤(ノバクトM)1Vを自己注射していたが,手術前日に4V点滴し,低位前方切除術+3郡リンパ節郭清+回腸人工肛門造設術を施行した.術後は3日間2V,その後APTT30-40秒で管理し,延長した時1Vずつ投与した.術後出血や合併症等認めず経過良好であった.術後約6カ月に人工肛門閉鎖となったが,遺伝子組み換え血液凝固第IX因子製剤のノナコグアルファを前回同様に投与し,経過良好であった.近年では...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 7; pp. 1968 - 1972
Main Authors 衣笠, 哲史, 白水, 和雄, 岡, 洋右, 赤木, 由人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.74.1968

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Summary:症例は60歳,男性.約20年前より血友病Bと診断され,膝関節出血等認め,約5年前より第IX因子の補充療法をされていた.血便認め精査にて直腸Ra前壁に約3cm大の2型病変認めた.1-2週に1回の間隔で第IX因子製剤(ノバクトM)1Vを自己注射していたが,手術前日に4V点滴し,低位前方切除術+3郡リンパ節郭清+回腸人工肛門造設術を施行した.術後は3日間2V,その後APTT30-40秒で管理し,延長した時1Vずつ投与した.術後出血や合併症等認めず経過良好であった.術後約6カ月に人工肛門閉鎖となったが,遺伝子組み換え血液凝固第IX因子製剤のノナコグアルファを前回同様に投与し,経過良好であった.近年では定期補充療法の確立に伴い,血友病患者の長期生存が得られるようになり,今後血友病患者の手術が増加することが予想され,消化器外科医も補充療法について十分理解した上で周術期管理を行うことが必要であると思われた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.1968