当院皮膚科を紹介受診した長期ステロイド治療犬における副作用と臨床検査成績の関係
当院皮膚科を紹介受診したステロイド長期治療犬40例を調査したところ,27例で副作用として多飲多尿,食欲増進,あえぎ呼吸,腹囲膨満,骨格筋萎縮などの全身症状,あるいは皮膚石灰沈着症,脱毛,皮膚の菲薄化,血管の明瞭化,紫斑,面皰などの皮疹が観察された。副作用発症犬と非発症犬の臨床検査成績を比較したところ,有意差を統計学的に認めたのはALPとALTであり,発症犬ではそれぞれの増加が74.1%,55.6%であったのに対し,非発症犬ではそれぞれ0%,15.4%であった。ACTH刺激試験は,両者とも副腎予備能の低下が高率に認められ,発症犬は77.8%,非発症犬は69.2%であった。したがって医原性クッシン...
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Published in | 獣医臨床皮膚科 Vol. 10; no. 2; pp. 41 - 46 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本獣医皮膚科学会
2004
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Subjects | |
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Summary: | 当院皮膚科を紹介受診したステロイド長期治療犬40例を調査したところ,27例で副作用として多飲多尿,食欲増進,あえぎ呼吸,腹囲膨満,骨格筋萎縮などの全身症状,あるいは皮膚石灰沈着症,脱毛,皮膚の菲薄化,血管の明瞭化,紫斑,面皰などの皮疹が観察された。副作用発症犬と非発症犬の臨床検査成績を比較したところ,有意差を統計学的に認めたのはALPとALTであり,発症犬ではそれぞれの増加が74.1%,55.6%であったのに対し,非発症犬ではそれぞれ0%,15.4%であった。ACTH刺激試験は,両者とも副腎予備能の低下が高率に認められ,発症犬は77.8%,非発症犬は69.2%であった。したがって医原性クッシングの評価をACTH刺激試験単独で行うことはできず,症状の観察とALT,ALP測定が不可欠であることが明らかにされた。 |
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ISSN: | 1347-6416 1881-2236 |
DOI: | 10.2736/jjvd.10.41 |