X線透視併用下腹腔鏡手術で摘出した腹腔内伏針の1例

症例は28歳,女性.交通外傷時の腹部X線にて右上腹部に線状の不透過物を指摘され,腹腔内異物の疑いとして当院を紹介受診した.本人に自覚症状は皆無であり,手術歴・鍼治療歴は無かった.腹部CTでは腸管外に長径40mmで線状の高吸収物を認め,腹腔内伏針の診断にて腹腔鏡下異物摘出術を施行した.術中X線透視を併用し横行結腸肝弯曲付近の大網組織ごと異物を摘出した.異物は金属針で,本人・家族に侵入の心当たりはなく,侵入経路は不明であった.術後経過は良好で,第2病日に退院した.腹腔内伏針は発見後早急な摘出が望ましく,術中破損や遺残のリスクを低減する方策が求められると考える....

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 9; pp. 1754 - 1758
Main Authors 茂野, 佐弓, 川合, 亮佑, 河合, 徹, 京兼, 隆典, 久世, 真悟, 宮地, 正彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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Summary:症例は28歳,女性.交通外傷時の腹部X線にて右上腹部に線状の不透過物を指摘され,腹腔内異物の疑いとして当院を紹介受診した.本人に自覚症状は皆無であり,手術歴・鍼治療歴は無かった.腹部CTでは腸管外に長径40mmで線状の高吸収物を認め,腹腔内伏針の診断にて腹腔鏡下異物摘出術を施行した.術中X線透視を併用し横行結腸肝弯曲付近の大網組織ごと異物を摘出した.異物は金属針で,本人・家族に侵入の心当たりはなく,侵入経路は不明であった.術後経過は良好で,第2病日に退院した.腹腔内伏針は発見後早急な摘出が望ましく,術中破損や遺残のリスクを低減する方策が求められると考える.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.1754