経静脈リードに起因する三尖弁閉鎖不全症に対する外科治療戦略

リードが三尖弁に悪影響を及ぼすことは数多く報告されている.特に徐脈性心房細動に対してリードを挿入している症例は,三尖弁逆流をきたすことが多く注意が必要であるが,逆流が進行してもリードが原因であり,仕方がないと判断され,著明な右心不全状態になるまで経過観察されることがしばしばある.このような状態での手術は非常にリスクが高く成績は不良である.一般的には経静脈リードを抜去し心外膜へ移設した後三尖弁手術を行うが,われわれは,経静脈リードをそのままにして三尖弁手術を行っている.リードを自然な走行で移動可能な交連部へ固定した後に弁形成術や置換術を行うことで,リード抜去による右心室損傷のリスクや閾値の問題を...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 41; no. 5; pp. 219 - 223
Main Authors 横山, 雄一郎, 佐藤, 晴瑞
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2012
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Summary:リードが三尖弁に悪影響を及ぼすことは数多く報告されている.特に徐脈性心房細動に対してリードを挿入している症例は,三尖弁逆流をきたすことが多く注意が必要であるが,逆流が進行してもリードが原因であり,仕方がないと判断され,著明な右心不全状態になるまで経過観察されることがしばしばある.このような状態での手術は非常にリスクが高く成績は不良である.一般的には経静脈リードを抜去し心外膜へ移設した後三尖弁手術を行うが,われわれは,経静脈リードをそのままにして三尖弁手術を行っている.リードを自然な走行で移動可能な交連部へ固定した後に弁形成術や置換術を行うことで,リード抜去による右心室損傷のリスクや閾値の問題を回避することができる.またリードが入ったままでも三尖弁手術は可能であるということが,至適時期に治療を行うための後押しとなるのではないかと考えている.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.41.219