ペグインターフェロン,リバビリン,シメプレビル3剤併用療法にてC型肝炎ウイルスに対して著効が得られるも,HBV DNA量の増加を来したB型C型重複感染の1例

B型肝炎ウイルス(HBV)とC型肝炎ウイルス(HCV)の重複感染は,それぞれの単独感染と比べて肝硬変および肝癌への進行が早いことが知られており積極的な治療が望まれる.しかしHBV,HCV重複感染に対するシメプレビル(SMV)3剤併用療法に関しての報告は少ない.本症例ではHBV,HCV重複感染に対してSMV 3剤併用療法を行い,短期間の投与にも関わらずHCVに対しては著効が得られたが,HBV DNA量の再上昇を認めた.これに対しては,エンテカビル投与を開始してHBV増殖の鎮静化が得られた.HBV,HCV重複感染に対する治療に際しては,両ウイルスの増殖状態に応じて適切な抗ウイルス薬を選択することが...

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Published in肝臓 Vol. 56; no. 8; pp. 422 - 427
Main Authors 松永, 隆, 宮城, 琢也, 巽, 智秀, 宮﨑, 昌典, 大川, 和良, 平松, 直樹, 木村, 治紀, 竹原, 徹郎, 榊原, 充, 今中, 和穗, 片山, 和宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2015
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.56.422

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Summary:B型肝炎ウイルス(HBV)とC型肝炎ウイルス(HCV)の重複感染は,それぞれの単独感染と比べて肝硬変および肝癌への進行が早いことが知られており積極的な治療が望まれる.しかしHBV,HCV重複感染に対するシメプレビル(SMV)3剤併用療法に関しての報告は少ない.本症例ではHBV,HCV重複感染に対してSMV 3剤併用療法を行い,短期間の投与にも関わらずHCVに対しては著効が得られたが,HBV DNA量の再上昇を認めた.これに対しては,エンテカビル投与を開始してHBV増殖の鎮静化が得られた.HBV,HCV重複感染に対する治療に際しては,両ウイルスの増殖状態に応じて適切な抗ウイルス薬を選択することが必要であり,さらには治療後もウイルス増殖の再燃に対する注意深い経過観察が必要である.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.56.422