ムコイド型Klebsiella pneumoniaeを起因菌とする感染性尿膜管囊胞の1例

症例は29歳男性,重度の精神発達遅滞で元来意思疎通が困難な状態であった。突然の血圧低下と腹部膨満を主訴とし,腸閉塞の診断で当科紹介となった。腹部CTで下腹部腹壁直下の囊胞性病変と遊離ガスのない腹水貯留,明らかな閉塞起点のない腸管拡張を認めた。囊胞穿刺液よりムコイド型Klebsiella pneumoniaeが同定され,感染性尿膜管囊胞を伴った腹膜炎と麻痺性腸閉塞の診断となった。抗生剤投与による保存的加療で状態が改善しなかったため,腹腔鏡下に尿膜管囊胞の切除と腹腔内ドレナージを施行し症状の改善を得た。同菌を起因菌とした膿瘍は難治性であることを念頭に置き,抗生剤投与や経皮的ドレナージのみならず膿瘍...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 7; pp. 1213 - 1218
Main Authors 北里, 雄平, 猿渡, 彰洋, 青柳, 武史, 押領司, 篤宣, 岩永, 彩子, 爲廣, 一仁, 靏, 知光, 谷口, 雅彦, 大西, 惠美, 円城寺, 貴浩, 緒方, 俊郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2018
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.1213

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Summary:症例は29歳男性,重度の精神発達遅滞で元来意思疎通が困難な状態であった。突然の血圧低下と腹部膨満を主訴とし,腸閉塞の診断で当科紹介となった。腹部CTで下腹部腹壁直下の囊胞性病変と遊離ガスのない腹水貯留,明らかな閉塞起点のない腸管拡張を認めた。囊胞穿刺液よりムコイド型Klebsiella pneumoniaeが同定され,感染性尿膜管囊胞を伴った腹膜炎と麻痺性腸閉塞の診断となった。抗生剤投与による保存的加療で状態が改善しなかったため,腹腔鏡下に尿膜管囊胞の切除と腹腔内ドレナージを施行し症状の改善を得た。同菌を起因菌とした膿瘍は難治性であることを念頭に置き,抗生剤投与や経皮的ドレナージのみならず膿瘍の開窓術や感染臓器の摘除を含めた加療も検討すべきである。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.1213