溶連菌感染後急性糸球体腎炎の血小板数の観察
腎炎の進展に血小板の関与が考えられている。代表的な腎炎である溶連菌感染後急性糸球体腎炎 (AGN) において血小板数 (PLT) を観察し,腎炎を併発しなかった溶連菌感染症 (ST) と比較した。症例はAGN26例とST80例で初診時と初診1週後の,AGNではその後初診3週後,5週後,11週以後でPLTを見た。白血球数 (WBC),補体値,CRPとの相関も見た。この結果,AGNではPLTは初診時から初診1週後で増加する傾向にあり,3週で低下しその後は微増した。STのPLTは同様に初診時から初診1週後にかけて増加した。WBCは両疾患とも初診時では初診1週後に比較して多いがSTの増加の程度は強かっ...
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Published in | 日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 10; no. 1; pp. 73 - 80 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
1997
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Subjects | |
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Summary: | 腎炎の進展に血小板の関与が考えられている。代表的な腎炎である溶連菌感染後急性糸球体腎炎 (AGN) において血小板数 (PLT) を観察し,腎炎を併発しなかった溶連菌感染症 (ST) と比較した。症例はAGN26例とST80例で初診時と初診1週後の,AGNではその後初診3週後,5週後,11週以後でPLTを見た。白血球数 (WBC),補体値,CRPとの相関も見た。この結果,AGNではPLTは初診時から初診1週後で増加する傾向にあり,3週で低下しその後は微増した。STのPLTは同様に初診時から初診1週後にかけて増加した。WBCは両疾患とも初診時では初診1週後に比較して多いがSTの増加の程度は強かった。PLTとWBCの関連ではSTにおいて好中球との関連を認めたがAGNでは認めず,初診1週後PLTと初診時,初診1週後リンパ球との間に有意の相関を認めた。またAGNの初診1週後でCH50とPLTに有意の相関を認めた。初診時CRPと初診1週後PLTは両者とも相関を認めた。これらのことは制御に関わるサイトカインが異なっていることを示唆すると思われ,腎炎発症のメカニズムを推測する上で参考になると思われた。 |
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ISSN: | 0915-2245 1881-3933 |
DOI: | 10.3165/jjpn.10.73 |