膵臓と胃十二指腸動脈に浸潤し緊急膵頭十二指腸切除術を施行した出血性胃悪性リンパ腫の1例

患者は68歳,女性。心窩部痛を主訴に前医を受診し,精査の結果,胃癌の診断で当院を紹介受診した。栄養管理目的での入院加療中に突然吐血し出血性ショックとなった。初期輸液療法もショックから離脱できず外科的止血目的に緊急開腹手術を施行した。腫瘍は周囲のリンパ節と一塊となり膵頭部と胃十二指腸動脈に直接浸潤し,十二指腸内へ出血していた。出血をコントロールした後に膵頭部との剥離を行ったが腫瘍のみの切除は不可能であったため緊急膵頭十二指腸切除術を施行した。切除検体の病理組織学的診断はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫であり臨床病期はLugano分類のstageⅡ1E(pancreas)となった。術後は縫合不全か...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 33; no. 8; pp. 1269 - 1274
Main Authors 小澤, 壯治, 伊東, 英輔, 蒲池, 健一, 千野, 修, 三朝, 博仁, 林, 勉, 數野, 暁人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2013
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.33.1269

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Summary:患者は68歳,女性。心窩部痛を主訴に前医を受診し,精査の結果,胃癌の診断で当院を紹介受診した。栄養管理目的での入院加療中に突然吐血し出血性ショックとなった。初期輸液療法もショックから離脱できず外科的止血目的に緊急開腹手術を施行した。腫瘍は周囲のリンパ節と一塊となり膵頭部と胃十二指腸動脈に直接浸潤し,十二指腸内へ出血していた。出血をコントロールした後に膵頭部との剥離を行ったが腫瘍のみの切除は不可能であったため緊急膵頭十二指腸切除術を施行した。切除検体の病理組織学的診断はびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫であり臨床病期はLugano分類のstageⅡ1E(pancreas)となった。術後は縫合不全から膵液瘻となったが保存的治療で軽快した。第41病日に化学療法施行目的に血液内科転科となった。外科的治療は胃悪性リンパ腫の第1選択ではないが本症例のように救命目的のための手術は今後も必要とされる。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.33.1269