Thin basement membrane diseaseの臨床病理学的検討

Thin basement membrane disease (以下TBMD) と診断した13症例を臨床病理学的に検討した。組織の検討は,従来の光学顕微鏡,電子顕微鏡,蛍光抗体法所見に加えて,酵素抗体法でIV型コラーゲンα鎖蛋白の発現も検討した。平均観察期間の6.1年で腎機能の低下を認めた症例はなかったが,酵素抗体法で糸球体係蹄壁にIV型コラーゲンα3・4・5鎖蛋白の発現の減弱がみられた男性の1症例では,蛋白尿の増加が見られた。このことからTBMDの診断・経過は慎重に対応する必要があり,IV型コラーゲンα鎖蛋白の検索を行うことはTBMDの診断およびAlport症候群との鑑別に有用と考えられた。...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 11; no. 1; pp. 35 - 39
Main Authors 谷澤, 隆邦, 服部, 益治, 前, 寛, 川口, 悟, 椿田, 重彦, 綾部, 信彦, 高井, 徹, 杉原, 克之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 1998
Subjects
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ISSN0915-2245
1881-3933
DOI10.3165/jjpn.11.35

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Summary:Thin basement membrane disease (以下TBMD) と診断した13症例を臨床病理学的に検討した。組織の検討は,従来の光学顕微鏡,電子顕微鏡,蛍光抗体法所見に加えて,酵素抗体法でIV型コラーゲンα鎖蛋白の発現も検討した。平均観察期間の6.1年で腎機能の低下を認めた症例はなかったが,酵素抗体法で糸球体係蹄壁にIV型コラーゲンα3・4・5鎖蛋白の発現の減弱がみられた男性の1症例では,蛋白尿の増加が見られた。このことからTBMDの診断・経過は慎重に対応する必要があり,IV型コラーゲンα鎖蛋白の検索を行うことはTBMDの診断およびAlport症候群との鑑別に有用と考えられた。
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.11.35