ハイブリッド治療を行った胸腔内左鎖骨下動脈瘤の1例

胸腔内型の鎖骨下動脈瘤に対する直達手術は,鎖骨上アプローチが困難であり,症例ごとにアプローチ方法や術式の検討が必要である.今回,慢性閉塞性肺疾患を有する胸腔内左鎖骨下動脈瘤に対して,左右腋窩動脈交叉バイパス術を併施した血管内治療を行い,良好な結果を得たので報告する.症例は66歳,男性.健康診断の胸部X線で異常陰影を指摘され,CT検査にて左鎖骨下動脈起始部に近接した胸腔内左鎖骨下動脈瘤を認めた.慢性閉塞性肺疾患を合併しているため,直達手術は耐術困難であり,より低侵襲な手術法が望まれた.手術は,まず左右腋窩動脈交叉バイパス術を行い,続けて瘤の末梢側と中枢側をそれぞれAmplatzer Vascul...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 9; pp. 1607 - 1610
Main Authors 小日向, 聡行, 白杉, 岳洋, 佐藤, 健一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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Summary:胸腔内型の鎖骨下動脈瘤に対する直達手術は,鎖骨上アプローチが困難であり,症例ごとにアプローチ方法や術式の検討が必要である.今回,慢性閉塞性肺疾患を有する胸腔内左鎖骨下動脈瘤に対して,左右腋窩動脈交叉バイパス術を併施した血管内治療を行い,良好な結果を得たので報告する.症例は66歳,男性.健康診断の胸部X線で異常陰影を指摘され,CT検査にて左鎖骨下動脈起始部に近接した胸腔内左鎖骨下動脈瘤を認めた.慢性閉塞性肺疾患を合併しているため,直達手術は耐術困難であり,より低侵襲な手術法が望まれた.手術は,まず左右腋窩動脈交叉バイパス術を行い,続けて瘤の末梢側と中枢側をそれぞれAmplatzer Vascular Plug II(AVP II)と胸部ステントグラフトで閉鎖した後に,その間の左鎖骨下動脈起始部に塞栓術を行った.低侵襲な本術式は,胸腔内左鎖骨下動脈瘤のハイリスクな症例に対して有効な治療法と考える.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.1607