腹腔鏡下膿瘍ドレナージ・大網充填術を行った人工血管感染の1例
症例は77歳,男性.両下肢間歇性跛行を主訴に当科を受診した.CT検査で高位大動脈閉塞と診断し,大動脈-両側大腿動脈バイパス術を施行した.術後経過は良好で自宅退院としたが,術後6カ月で腰痛を主訴に他院外来を受診し,CT検査で左腸腰筋膿瘍が疑われ,当院へ救急搬送された.人工血管感染による左後腹膜膿瘍と診断,左後腹膜膿瘍に対して腹腔鏡下に膿瘍ドレナージを施行し,膿瘍腔へ大網を充填した.その後長期の抗菌薬投与を行い,感染の再燃なく自宅退院として,現在も経過観察中である.人工血管感染は難治性で,全身へ感染が波及しうる重篤な状態であり,多くは感染人工血管の除去や再バイパス手術を要するが,腹腔鏡下に膿瘍ドレ...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 6; pp. 1084 - 1088 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2019
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.80.1084 |
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Summary: | 症例は77歳,男性.両下肢間歇性跛行を主訴に当科を受診した.CT検査で高位大動脈閉塞と診断し,大動脈-両側大腿動脈バイパス術を施行した.術後経過は良好で自宅退院としたが,術後6カ月で腰痛を主訴に他院外来を受診し,CT検査で左腸腰筋膿瘍が疑われ,当院へ救急搬送された.人工血管感染による左後腹膜膿瘍と診断,左後腹膜膿瘍に対して腹腔鏡下に膿瘍ドレナージを施行し,膿瘍腔へ大網を充填した.その後長期の抗菌薬投与を行い,感染の再燃なく自宅退院として,現在も経過観察中である.人工血管感染は難治性で,全身へ感染が波及しうる重篤な状態であり,多くは感染人工血管の除去や再バイパス手術を要するが,腹腔鏡下に膿瘍ドレナージおよび大網充填術を行い,感染の再燃なく1年が経過している. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.80.1084 |