過剰気管支の後天性閉鎖が示唆された1例
気管支閉鎖症は稀な疾患であるが,気管支の閉鎖と粘液栓,その末梢肺の過膨張等の特徴的な所見により多くはCT検査で診断可能とされている.今回われわれは,非典型的な画像所見を呈した気管支閉鎖症を経験したので報告する.症例は50歳の男性.緩徐に増大する右肺結節精査のため紹介受診となった.CT検査では右中間気管支幹膜様部に接して最大径12mmの結節影を認めた.その末梢に気管支を疑う管状の構造物を認めたが他の気管支との交通はなく,その他の気管支の欠損も認められなかった.結節は肺癌を否定できず,右肺S2/6区域切除術を施行し,術中迅速病理診断では線維増生の診断であった.永久標本では結節の末梢に気管支構造を認...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 79; no. 9; pp. 1835 - 1838 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2018
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.79.1835 |
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Summary: | 気管支閉鎖症は稀な疾患であるが,気管支の閉鎖と粘液栓,その末梢肺の過膨張等の特徴的な所見により多くはCT検査で診断可能とされている.今回われわれは,非典型的な画像所見を呈した気管支閉鎖症を経験したので報告する.症例は50歳の男性.緩徐に増大する右肺結節精査のため紹介受診となった.CT検査では右中間気管支幹膜様部に接して最大径12mmの結節影を認めた.その末梢に気管支を疑う管状の構造物を認めたが他の気管支との交通はなく,その他の気管支の欠損も認められなかった.結節は肺癌を否定できず,右肺S2/6区域切除術を施行し,術中迅速病理診断では線維増生の診断であった.永久標本では結節の末梢に気管支構造を認め,気管支閉鎖症の診断となった.また,間質には炭粉沈着を認め,後天性に閉鎖した可能性が示唆された.自験例は過剰気管支が後天性に閉鎖したことで,典型的な画像所見を示さなかったと考えられた. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.79.1835 |