急性心筋梗塞発症を契機に発見された上行大動脈内血栓の1例

症例は48歳,女性.39歳時より皮膚筋炎に対してステロイドを内服中.48歳時に突然の胸部絞扼感が出現し,急性心筋梗塞が疑われた.冠動脈造影検査で右冠動脈閉塞を認め,同部位から塞栓物(血栓)を回収した.左室造影検査では上行大動脈内に可動性腫瘤を認めた.腫瘤は血栓の可能性も考慮し,ヘパリン治療を開始したが,腫瘤は縮小せず,手術の方針とした.腫瘤は右冠動脈口より2.5 cmほど遠位の大動脈壁に付着しており,20 mm×7 mm×7 mmの棒状であった.腫瘤付着部位の大動脈壁の性状は保たれていたため,腫瘤除去のみで手術を終了とした.腫瘤は病理組織検査で白色血栓,および赤色血栓よりなる混合血栓組織であっ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 48; no. 3; pp. 197 - 201
Main Authors 登坂, 有子, 中澤, 聡, 佐藤, 裕喜, 若林, 貴志, 三島, 健人, 佐藤, 大樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.05.2019
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.48.197

Cover

More Information
Summary:症例は48歳,女性.39歳時より皮膚筋炎に対してステロイドを内服中.48歳時に突然の胸部絞扼感が出現し,急性心筋梗塞が疑われた.冠動脈造影検査で右冠動脈閉塞を認め,同部位から塞栓物(血栓)を回収した.左室造影検査では上行大動脈内に可動性腫瘤を認めた.腫瘤は血栓の可能性も考慮し,ヘパリン治療を開始したが,腫瘤は縮小せず,手術の方針とした.腫瘤は右冠動脈口より2.5 cmほど遠位の大動脈壁に付着しており,20 mm×7 mm×7 mmの棒状であった.腫瘤付着部位の大動脈壁の性状は保たれていたため,腫瘤除去のみで手術を終了とした.腫瘤は病理組織検査で白色血栓,および赤色血栓よりなる混合血栓組織であった.術後から血栓予防目的に抗血小板薬と抗凝固薬の内服を開始し,術後1年が経過したが,再発なく経過している.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.48.197