石灰化像を呈した卵巣癌乳房転移の1例

51歳,女性.Stage I cの卵巣癌(漿液性乳頭腺癌)に対して当院婦人科にて両側付属器摘出,大網切除,骨盤内リンパ節郭清ならびに腹腔内化学療法が施行された.術後19カ月で傍大動脈リンパ節再発を認め,化学療法により再発巣は縮小したが,右鎖骨上窩,腋窩,頸部リンパ節腫大が出現した.右腋窩リンパ節腫大の精査目的のマンモグラフィでは,淡く不明瞭な石灰化を区域性に認めた.診断確定のため,ステレオガイド下マンモトーム生検を他院に依頼したところ浸潤性微小乳管癌の診断であった.右乳房切除術,腋窩リンパ節郭清を施行し,最終病理検査では卵巣癌乳房内転移の診断であった.卵巣癌乳房転移は稀であり,さらに転移性乳腺...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 9; pp. 1999 - 2004
Main Authors 新田, 敏勝, 谷島, 裕之, 碇, 絢菜, 星田, 義彦, 堀内, 哲也, 田中, 覚
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.1999

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Summary:51歳,女性.Stage I cの卵巣癌(漿液性乳頭腺癌)に対して当院婦人科にて両側付属器摘出,大網切除,骨盤内リンパ節郭清ならびに腹腔内化学療法が施行された.術後19カ月で傍大動脈リンパ節再発を認め,化学療法により再発巣は縮小したが,右鎖骨上窩,腋窩,頸部リンパ節腫大が出現した.右腋窩リンパ節腫大の精査目的のマンモグラフィでは,淡く不明瞭な石灰化を区域性に認めた.診断確定のため,ステレオガイド下マンモトーム生検を他院に依頼したところ浸潤性微小乳管癌の診断であった.右乳房切除術,腋窩リンパ節郭清を施行し,最終病理検査では卵巣癌乳房内転移の診断であった.卵巣癌乳房転移は稀であり,さらに転移性乳腺腫瘍はマンモグラフィで石灰化をきたす報告は少ない.今回,再発卵巣癌の加療中に乳房石灰化をきたし,乳房転移が判明した1例を経験したので,文献的考察を加え報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.1999