前下膵十二指腸動脈瘤破裂をきたした正中弓状靭帯圧迫症候群の1例

要旨:症例は,66歳女性。右下腹部痛を主訴に近医を受診し,後腹膜血腫を指摘され当科紹介となった。腹部造影CT検査で膵頭部近傍に血腫を認めた。血管撮影検査では,上腸間膜動脈からの造影で胃十二指腸動脈を介して固有肝動脈が描出された。腹腔動脈起始部は狭窄しており,腹腔動脈からの造影では胃十二指腸動脈は求肝性血流のため描出されなかった。第一空腸動脈からの造影で前下膵十二指腸動脈に動脈瘤を認めた。正中弓状靭帯の圧迫による腹腔動脈狭窄症,それに伴う前下膵十二指腸動脈の動脈瘤と診断した。経カテーテル的に動脈瘤に対し塞栓術を行った後,動脈瘤再発予防目的に弓状靭帯開放術を施行した。術後腹部造影CT検査では動脈瘤...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 33; no. 7; pp. 1169 - 1172
Main Authors 山下, 裕一, 山田, 和之介, 愛洲, 尚哉, 前田, 洋恵, 乗富, 智明, 松岡, 信秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2013
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.33.1169

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Summary:要旨:症例は,66歳女性。右下腹部痛を主訴に近医を受診し,後腹膜血腫を指摘され当科紹介となった。腹部造影CT検査で膵頭部近傍に血腫を認めた。血管撮影検査では,上腸間膜動脈からの造影で胃十二指腸動脈を介して固有肝動脈が描出された。腹腔動脈起始部は狭窄しており,腹腔動脈からの造影では胃十二指腸動脈は求肝性血流のため描出されなかった。第一空腸動脈からの造影で前下膵十二指腸動脈に動脈瘤を認めた。正中弓状靭帯の圧迫による腹腔動脈狭窄症,それに伴う前下膵十二指腸動脈の動脈瘤と診断した。経カテーテル的に動脈瘤に対し塞栓術を行った後,動脈瘤再発予防目的に弓状靭帯開放術を施行した。術後腹部造影CT検査では動脈瘤の再発は無く,3D-CT検査では腹腔動脈根部の狭窄の改善を認めた。腹腔動脈狭窄症に伴う動脈瘤破裂の報告は少なく,文献的考察を加えて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.33.1169