肝細胞癌に対するミリプラチン動注療法後に発症した薬剤性肺障害の1例

症例は69歳,男性.C型肝硬変・肝細胞癌(HCC)に対する治療を繰り返していたが,増悪したため,ミリプラチン動注療法目的で入院となった.第0病日,HCCに対してミリプラチン動注療法(計102 mg)を施行した.第8病日頃より,咳嗽・喀痰が出現し,第17病日の胸部CTでは両側肺野のびまん性擦りガラス状陰影を認めた.PaO2 53 Torrと著明な低酸素血症を認め,急性呼吸不全にて人工呼吸器管理とし,ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1 g/日3日間)を開始した.その後徐々に呼吸状態は改善し,第24病日,人工呼吸器より離脱した.第53病日の胸部CTでは肺炎像は著明に改善していた.血液検査・...

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Published in肝臓 Vol. 53; no. 5; pp. 284 - 290
Main Authors 中井, 俊之, 遠山, まどか, 藤井, 英樹, 平田, 一人, 大谷, 香織, 岩井, 秀司, 小林, 佐和子, 田守, 昭博, 河田, 則文, 鴨井, 博, 吉田, 香奈子, 寺西, 優雅, 榎本, 大, 川村, 悦史, 松浦, 知香, 萩原, 淳司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2012
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.53.284

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Summary:症例は69歳,男性.C型肝硬変・肝細胞癌(HCC)に対する治療を繰り返していたが,増悪したため,ミリプラチン動注療法目的で入院となった.第0病日,HCCに対してミリプラチン動注療法(計102 mg)を施行した.第8病日頃より,咳嗽・喀痰が出現し,第17病日の胸部CTでは両側肺野のびまん性擦りガラス状陰影を認めた.PaO2 53 Torrと著明な低酸素血症を認め,急性呼吸不全にて人工呼吸器管理とし,ステロイドパルス療法(メチルプレドニゾロン1 g/日3日間)を開始した.その後徐々に呼吸状態は改善し,第24病日,人工呼吸器より離脱した.第53病日の胸部CTでは肺炎像は著明に改善していた.血液検査・喀痰培養・気管支肺胞洗浄などの結果から感染による肺炎は否定的であり,ミリプラチンによる薬剤性肺障害の可能性が高いと考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.53.284