腹腔鏡下胃全摘術後に発症した上腸間膜静脈血栓症を伴う内ヘルニアの1例

症例は73歳男性で1年前に胃癌に対しlaparoscopy-assisted total gastrectomy (LATG) R-Y再建術の既往がある.外来経過観察中に腹痛を主訴に受診.造影CTで上腸間膜静脈に血栓を認め,上腸間膜静脈血栓症(SMVT)と診断した.腹膜刺激症状なく,造影CT上も明らかな腸管虚血や穿孔の所見を認めなかったため,経上腸間膜動脈的血栓溶解療法を行った.しかし腹部造影CT冠状断で,R-Y再建により挙上した空腸の背側に小腸ループが内ヘルニア(Petersen's hernia)を起こしている所見があり,自然整復は見込めないと判断し全身麻酔下で開腹し内ヘルニアの...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 5; pp. 1255 - 1260
Main Authors 児玉, 泰一, 山口, 剛, 村田, 聡, 山本, 寛, 来見, 良誠, 谷, 徹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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Summary:症例は73歳男性で1年前に胃癌に対しlaparoscopy-assisted total gastrectomy (LATG) R-Y再建術の既往がある.外来経過観察中に腹痛を主訴に受診.造影CTで上腸間膜静脈に血栓を認め,上腸間膜静脈血栓症(SMVT)と診断した.腹膜刺激症状なく,造影CT上も明らかな腸管虚血や穿孔の所見を認めなかったため,経上腸間膜動脈的血栓溶解療法を行った.しかし腹部造影CT冠状断で,R-Y再建により挙上した空腸の背側に小腸ループが内ヘルニア(Petersen's hernia)を起こしている所見があり,自然整復は見込めないと判断し全身麻酔下で開腹し内ヘルニアの解除を行った.解除前後に血栓溶解療法を施行したことで血栓による腸管虚血および腸管切除を回避し合併症なく救命しえた.LATG後にSMVTと内ヘルニアを生じた報告例はなく,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.1255