非解剖学的血行再建により再拡張が得られた急性 B 型大動脈解離による stent graft collapse の1例

急性大動脈解離を原因とするStent graft(SG)collapseと,その後再拡張が得られた症例を経験し報告する.症例は64歳男性.21カ月前に腎動脈下腹部大動脈瘤に対し腹部SG内挿術を施行していた.併存する胸部大動脈瘤もあり外来経過観察していたが,突然の背部痛を主訴に救急外来を受診した.急性大動脈解離(Stanford B, DeBakey IIIa)の診断で保存的治療を行うも第7病日に突然の腹痛と両下肢痛が出現した.造影CTで解離腔が末梢側へ進展し偽腔によるSGメインボディの圧排閉塞所見を認めた.両側急性下肢動脈閉塞を呈しており,緊急で右腋窩-両側外腸骨動脈バイパス術を施行した.術後...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 48; no. 3; pp. 206 - 209
Main Authors 向原, 公介, 豊川, 建二, 山本, 裕之, 寺園, 和哉, 緒方, 裕樹, 井本, 浩, 永冨, 脩二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.05.2019
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.48.206

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Summary:急性大動脈解離を原因とするStent graft(SG)collapseと,その後再拡張が得られた症例を経験し報告する.症例は64歳男性.21カ月前に腎動脈下腹部大動脈瘤に対し腹部SG内挿術を施行していた.併存する胸部大動脈瘤もあり外来経過観察していたが,突然の背部痛を主訴に救急外来を受診した.急性大動脈解離(Stanford B, DeBakey IIIa)の診断で保存的治療を行うも第7病日に突然の腹痛と両下肢痛が出現した.造影CTで解離腔が末梢側へ進展し偽腔によるSGメインボディの圧排閉塞所見を認めた.両側急性下肢動脈閉塞を呈しており,緊急で右腋窩-両側外腸骨動脈バイパス術を施行した.術後18日目CTでSGは自然に元の形状まで拡張し順行性血流が得られていた.非解剖学的血行再建はSG collapseの際の有効な治療手段と考えられる.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.48.206