急性閉塞を起こした腹部大動脈瘤の1例
症例は80歳男性.ゲートボール中に両下肢脱力,疼痛が出現したため近医を受診し,経過観察された.翌日,症状が増悪し,前医を受診したところ,両側大腿動脈拍動が触知できず,下肢急性動脈閉塞が疑われ造影CTを撮影された.CTでは最大短径37 mm大の腹部大動脈瘤を認め,瘤内は完全閉塞し,側副血行路にて両側内外腸骨動脈末梢が造影されていた.腹部大動脈瘤急性血栓閉塞と診断され当院へ緊急搬送となった.来院時,下肢所見はBalas分類III度,TASC分類IIb,Rutherford分類IIbであった.腹部症状は認めず,下肢へは側副血行で血流の確認ができたため,血行再建の方針とした.術式は,認知症,高齢を考慮...
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Published in | 日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 43; no. 4; pp. 185 - 190 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
2014
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Subjects | |
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ISSN | 0285-1474 1883-4108 |
DOI | 10.4326/jjcvs.43.185 |
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Summary: | 症例は80歳男性.ゲートボール中に両下肢脱力,疼痛が出現したため近医を受診し,経過観察された.翌日,症状が増悪し,前医を受診したところ,両側大腿動脈拍動が触知できず,下肢急性動脈閉塞が疑われ造影CTを撮影された.CTでは最大短径37 mm大の腹部大動脈瘤を認め,瘤内は完全閉塞し,側副血行路にて両側内外腸骨動脈末梢が造影されていた.腹部大動脈瘤急性血栓閉塞と診断され当院へ緊急搬送となった.来院時,下肢所見はBalas分類III度,TASC分類IIb,Rutherford分類IIbであった.腹部症状は認めず,下肢へは側副血行で血流の確認ができたため,血行再建の方針とした.術式は,認知症,高齢を考慮し非解剖学的血行再建術(右腋窩動脈-両側大腿動脈バイパス)を施行した.術後,再灌流障害を来すことなく経過し,第16病日独歩退院となった.腹部大動脈瘤急性閉塞は比較的稀な疾患である.発症時,虚血範囲が広範となるため,血行再建術後に重篤な再灌流障害を来すことが多く,予後不良の疾患である.今回,救命しえた1例を経験したので報告する. |
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ISSN: | 0285-1474 1883-4108 |
DOI: | 10.4326/jjcvs.43.185 |