Sarcoid-like reactionを認めた非浸潤性乳管癌の1例

症例は55歳,女性.左A領域に約8cm大の腫瘤と同側の腋窩,鎖骨上リンパ節の腫大を認め,画像診断は転移を疑った.原発巣の生検結果はcomedo type DCIS,リンパ節の細胞診検査は転移陰性であった.リンパ節の組織所見と画像所見の整合性が乏しいと思われたが,乳房全摘術とセンチネルリンパ節生検を行った.腫大したセンチネルリンパ節の迅速病理診断は転移を認めず,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫病変を認めた.術後に行ったリンパ節の抗酸菌染色は陰性,胸部X線写真,Gaシンチグラフィーや血清ACE値は正常で,乳癌に伴ったsarcoid-like reactionと診断した.Sarcoid-like react...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 8; pp. 1891 - 1895
Main Authors 奈良, 佳治, 森, 敏宏, 雫, 真人, 水野, 豊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.1891

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Summary:症例は55歳,女性.左A領域に約8cm大の腫瘤と同側の腋窩,鎖骨上リンパ節の腫大を認め,画像診断は転移を疑った.原発巣の生検結果はcomedo type DCIS,リンパ節の細胞診検査は転移陰性であった.リンパ節の組織所見と画像所見の整合性が乏しいと思われたが,乳房全摘術とセンチネルリンパ節生検を行った.腫大したセンチネルリンパ節の迅速病理診断は転移を認めず,非乾酪性類上皮細胞肉芽腫病変を認めた.術後に行ったリンパ節の抗酸菌染色は陰性,胸部X線写真,Gaシンチグラフィーや血清ACE値は正常で,乳癌に伴ったsarcoid-like reactionと診断した.Sarcoid-like reactionは悪性腫瘍に合併するとの報告があるが頻度は少なく,病期診断の誤りから過剰治療をもたらす可能性があると思われる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.1891