CT検査にて術前診断した大腿ヘルニア内虫垂嵌頓の1例

症例は70歳,女性.主訴は右鼠径部膨隆.1カ月前より主訴を自覚し右大腿ヘルニアの疑いで当科紹介.来院時,右鼠径靱帯の足側,大腿動脈の内側に30×25mmの弾性軟な腫瘤を触知し同部位に軽度圧痛を認めた.腹部造影CT検査上,右大腿管内に虫垂の陥入が疑われ,de Garengeot herniaと診断した.全身状態より緊急性は無く,待期的に手術を施行.ヘルニア嚢を開放すると少量の漿液性腹水と共に発赤・腫脹を伴わない虫垂先端・虫垂間膜が確認された.虫垂間膜とヘルニア嚢の癒着を剥離し腹腔内に還納した.創汚染は無いと考え,PHS法を用いヘルニアを修復し手術を終了した. 大腿ヘルニア内虫垂嵌頓は鼠径部ヘルニ...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 6; pp. 1730 - 1734
Main Authors 奥村, 拓也, 水野, 智哉, 鈴木, 憲次, 川辺, 昭浩, 山下, 公裕, 礒垣, 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.1730

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Summary:症例は70歳,女性.主訴は右鼠径部膨隆.1カ月前より主訴を自覚し右大腿ヘルニアの疑いで当科紹介.来院時,右鼠径靱帯の足側,大腿動脈の内側に30×25mmの弾性軟な腫瘤を触知し同部位に軽度圧痛を認めた.腹部造影CT検査上,右大腿管内に虫垂の陥入が疑われ,de Garengeot herniaと診断した.全身状態より緊急性は無く,待期的に手術を施行.ヘルニア嚢を開放すると少量の漿液性腹水と共に発赤・腫脹を伴わない虫垂先端・虫垂間膜が確認された.虫垂間膜とヘルニア嚢の癒着を剥離し腹腔内に還納した.創汚染は無いと考え,PHS法を用いヘルニアを修復し手術を終了した. 大腿ヘルニア内虫垂嵌頓は鼠径部ヘルニアの約0.5%とまれである.また,術前診断が非常に困難とされる.自験例では画像診断により術前診断が可能であった.また,治療は虫垂切除を施行しなかったためmeshを用いることができ,術後経過も良好であった.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.1730