門脈再建を伴う肝左葉切除術後の門脈血栓に門脈ステントを留置した1例

膵癌や胆道癌による門脈狭窄,肝移植後の門脈吻合部狭窄などの治療に門脈ステント留置が行われることがある.近年は良性門脈狭窄に対する留置例も散見される.今回,われわれは肝内胆管癌に対する肝左葉切除術後の門脈血栓に門脈ステントを留置した1例を経験した.症例は85歳女性.健診で肝機能異常を指摘され精査した結果,肝S2の肝内胆管癌の診断で肝左葉切除を行った.また,門脈分枝(P8)が左枝から分岐し腫瘍浸潤を認めたため右枝へ吻合再建を行った.術中,門脈血栓を認め血栓除去および血管形成を併施した.術後,門脈血栓が再発し11日目に回結腸静脈から門脈内カテーテルを留置し,血栓溶解療法を行った.一度は門脈の開存を認...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 75; no. 8; pp. 2269 - 2273
Main Authors 岡野, 圭一, 山本, 尚樹, 藤原, 理朗, 西村, 充孝, 赤本, 伸太郎, 鈴木, 康之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2014
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.75.2269

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Summary:膵癌や胆道癌による門脈狭窄,肝移植後の門脈吻合部狭窄などの治療に門脈ステント留置が行われることがある.近年は良性門脈狭窄に対する留置例も散見される.今回,われわれは肝内胆管癌に対する肝左葉切除術後の門脈血栓に門脈ステントを留置した1例を経験した.症例は85歳女性.健診で肝機能異常を指摘され精査した結果,肝S2の肝内胆管癌の診断で肝左葉切除を行った.また,門脈分枝(P8)が左枝から分岐し腫瘍浸潤を認めたため右枝へ吻合再建を行った.術中,門脈血栓を認め血栓除去および血管形成を併施した.術後,門脈血栓が再発し11日目に回結腸静脈から門脈内カテーテルを留置し,血栓溶解療法を行った.一度は門脈の開存を認めたが再閉塞したため門脈ステントを留置した.ステント留置後は血栓の再発なく経過し,術後69日目に軽快退院となった.門脈ステント留置については依然標準的な適応基準は定まっておらず,文献的考察を含めて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.75.2269