胸壁の皮下気腫まで及んだ腹壁膿瘍を伴う穿通性S状結腸癌の1例

大腸癌が腹壁膿瘍を形成する例や胸壁の皮下気腫をきたす例は極めてまれである。今回穿通性のS状結腸癌から後腹膜気腫,胸壁の皮下気腫をきたした1例を経験した。症例は52歳男性。左下腹部痛,悪寒戦慄を訴え受診した。腹部CTで後腹膜に連続するS状結腸腫瘍と,後腹膜気腫,前胸部皮下気腫を認めたため,穿通性のS状結腸癌と診断し,緊急手術を行った。大腸癌が後腹膜穿通した場合,通常は後腹膜経路で食道裂孔から縦隔に至るが,皮下気腫はきたしにくい。本例は受診前にゴルフを行っており,その時の回旋運動により腹壁に貫通していた膿瘍が,腹腔内に穿破され,腹腔内感染を起こすとともに,ガス産生性嫌気性菌により,腹壁から胸壁に急...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 7; pp. 1133 - 1136
Main Authors 戸口, 景介, 山口, 拓也, 重留, 一貴, 外山, 和隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2018
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.38.1133

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Summary:大腸癌が腹壁膿瘍を形成する例や胸壁の皮下気腫をきたす例は極めてまれである。今回穿通性のS状結腸癌から後腹膜気腫,胸壁の皮下気腫をきたした1例を経験した。症例は52歳男性。左下腹部痛,悪寒戦慄を訴え受診した。腹部CTで後腹膜に連続するS状結腸腫瘍と,後腹膜気腫,前胸部皮下気腫を認めたため,穿通性のS状結腸癌と診断し,緊急手術を行った。大腸癌が後腹膜穿通した場合,通常は後腹膜経路で食道裂孔から縦隔に至るが,皮下気腫はきたしにくい。本例は受診前にゴルフを行っており,その時の回旋運動により腹壁に貫通していた膿瘍が,腹腔内に穿破され,腹腔内感染を起こすとともに,ガス産生性嫌気性菌により,腹壁から胸壁に急速に皮下気腫形成をきたしたものと思われた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.1133