鼠径ヘルニア術後神経性疼痛に対して神経切除術が著効をみた1例

鼠径ヘルニア術後の再発が著明に減少した現在,術後の慢性疼痛は最も問題となる合併症といっても過言ではない.特に術後の神経性疼痛は難治性で,QOLの著しい低下につながる.今回,鼠径ヘルニア術後の神経性疼痛に対して,神経切除術を行い,著明な除痛が得られた症例を経験したので報告する.症例は20歳台の女性で,他院での右鼠径ヘルニア根治術後1カ月から右鼠径部に強い疼痛が出現した.各種鎮痛薬でも改善がなく,術後9カ月で当科紹介となった.Tinel兆候陽性で,患者の強い手術希望があったため,手術を施行した.腸骨鼠径神経が外腹斜筋腱膜の縫合糸に巻き込まれており,これを解除し,triple neurectomyを...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 74; no. 9; pp. 2630 - 2634
Main Authors 大平, 学, 当間, 雄之, 宮内, 英聡, 鈴木, 一史, 西森, 孝典, 松原, 久裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2013
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Summary:鼠径ヘルニア術後の再発が著明に減少した現在,術後の慢性疼痛は最も問題となる合併症といっても過言ではない.特に術後の神経性疼痛は難治性で,QOLの著しい低下につながる.今回,鼠径ヘルニア術後の神経性疼痛に対して,神経切除術を行い,著明な除痛が得られた症例を経験したので報告する.症例は20歳台の女性で,他院での右鼠径ヘルニア根治術後1カ月から右鼠径部に強い疼痛が出現した.各種鎮痛薬でも改善がなく,術後9カ月で当科紹介となった.Tinel兆候陽性で,患者の強い手術希望があったため,手術を施行した.腸骨鼠径神経が外腹斜筋腱膜の縫合糸に巻き込まれており,これを解除し,triple neurectomyを施行した.疼痛は術前visual analogue scale(以下VAS)が80であったが,術後1カ月で5まで低下した.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.74.2630