ステロイド剤が著効したPBC-AIHが疑われた1例

初診時の精査では原因の特定が困難な慢性肝炎が存在する.症例は71歳,女性.全身倦怠感,食思不振を主訴に来院した.B型,C肝炎ウィルスは陰性,自己抗体は陰性,IgGは1919 mg/dl,抗ミトコンドリア(M2)抗体陽性であった.総ビリルビン26.0 mg/dl,PT-INRは1.31であり重症化を示唆していたのでプレドニゾロン40 mg/dayにて治療を開始したところ速やかに肝機能は改善した.治療後の肝生検では小葉間胆管の破壊とけずりとり壊死がみられ,慢性肝炎(F1,A1)であった.今後自己免疫性肝炎(AIH),原発性胆汁性肝硬変(PBC),またはPBC-AIH overlap syndrom...

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Published in肝臓 Vol. 55; no. 6; pp. 360 - 366
Main Authors 富澤, 稔, 岸本, 充, 篠崎, 文信, 杉山, 隆夫, 末石, 眞, 本吉, 慶史, 富居, 一範, 山本, 重則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2014
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.55.360

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Summary:初診時の精査では原因の特定が困難な慢性肝炎が存在する.症例は71歳,女性.全身倦怠感,食思不振を主訴に来院した.B型,C肝炎ウィルスは陰性,自己抗体は陰性,IgGは1919 mg/dl,抗ミトコンドリア(M2)抗体陽性であった.総ビリルビン26.0 mg/dl,PT-INRは1.31であり重症化を示唆していたのでプレドニゾロン40 mg/dayにて治療を開始したところ速やかに肝機能は改善した.治療後の肝生検では小葉間胆管の破壊とけずりとり壊死がみられ,慢性肝炎(F1,A1)であった.今後自己免疫性肝炎(AIH),原発性胆汁性肝硬変(PBC),またはPBC-AIH overlap syndromeに推移する可能性があるcryptogenic chronic hepatitisと考えられた.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.55.360