腹部大動脈ステントグラフト内挿術の周術期にたこつぼ型心筋症を合併した1治験例

症例は88歳女性.腎動脈下腹部大動脈瘤の診断で局所麻酔下に経カテーテル的腹部大動脈ステントグラフト内挿術 (endovascular aortic aneurysm repair, EVAR)を施行した.術後突然心停止となり,蘇生後の心電図でV2-6のST上昇を認め,心エコーで心尖部の広範囲の無収縮および心基部の過収縮を認めた.冠動脈造影では有意な冠動脈病変は認めず,たこつぼ型心筋症と診断した.血行動態維持のためカテコラミンを要したが,数日後には心機能は正常化した.EVARは低侵襲な術式であるが,たこつぼ型心筋症はその周術期に起こり得る合併症である.たこつぼ型心筋症は重症化する危険性があり,急...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 48; no. 5; pp. 335 - 340
Main Authors 岡林, 均, 中根, 武一郎, 金光, 尚樹, 本田, 正典, 山下, 剛生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.09.2019
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.48.335

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Summary:症例は88歳女性.腎動脈下腹部大動脈瘤の診断で局所麻酔下に経カテーテル的腹部大動脈ステントグラフト内挿術 (endovascular aortic aneurysm repair, EVAR)を施行した.術後突然心停止となり,蘇生後の心電図でV2-6のST上昇を認め,心エコーで心尖部の広範囲の無収縮および心基部の過収縮を認めた.冠動脈造影では有意な冠動脈病変は認めず,たこつぼ型心筋症と診断した.血行動態維持のためカテコラミンを要したが,数日後には心機能は正常化した.EVARは低侵襲な術式であるが,たこつぼ型心筋症はその周術期に起こり得る合併症である.たこつぼ型心筋症は重症化する危険性があり,急性期の速やかな診断と治療が重要である.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.48.335