腹腔鏡下に切除した後腹膜消化管重複症の1例

症例は34歳,男性.背部痛を主訴に前医を受診した.腹部CTにて石灰化を伴う後腹膜腫瘤を認め当院消化器センターへ紹介となる.腹部造影CTでは膵尾部背側に約30mmの内部に石灰化を伴う嚢胞性腫瘤を認めた.腹部MRI検査ではT2強調画像で高信号,T1強調画像で低信号を認め,dermoid cystが疑われたが,診断確定のため手術を行う方針となった.手術は5ポートにて行った.膵下縁と横行結腸間膜の付着部を切開すると後腹膜腔に既知の病変を認めた.周囲組織との剥離は容易であり,後腹膜からの栄養血管を切離して,腫瘤を臍部の創より摘出した.術後は特に問題なく,第6病日目に退院となる.病理検査ではcolon d...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 5; pp. 1201 - 1205
Main Authors 安田, 将, 安食, 隆, 石山, 秀一, 笠井, 明大, 赤平, 純一, 山内, 淳一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.1201

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Summary:症例は34歳,男性.背部痛を主訴に前医を受診した.腹部CTにて石灰化を伴う後腹膜腫瘤を認め当院消化器センターへ紹介となる.腹部造影CTでは膵尾部背側に約30mmの内部に石灰化を伴う嚢胞性腫瘤を認めた.腹部MRI検査ではT2強調画像で高信号,T1強調画像で低信号を認め,dermoid cystが疑われたが,診断確定のため手術を行う方針となった.手術は5ポートにて行った.膵下縁と横行結腸間膜の付着部を切開すると後腹膜腔に既知の病変を認めた.周囲組織との剥離は容易であり,後腹膜からの栄養血管を切離して,腫瘤を臍部の創より摘出した.術後は特に問題なく,第6病日目に退院となる.病理検査ではcolon duplicationの診断であった.完全鏡視下に切除しえた後腹膜消化管重複症の報告は大変稀であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.1201