胃切除後に乳糜腹水を伴う絞扼性イレウスをきたした1例

症例は88歳の男性で,48歳時に胃潰瘍の診断で幽門側胃切除術,Billroth Ⅰ法再建術を施行されていた。突然の嘔吐と腹痛を主訴に救急搬送された。造影CT検査でwhirl signおよび腹水の貯留を認め,絞扼性イレウスを疑い緊急手術を施行した。開腹すると小腸は上腸間膜動脈を軸に反時計回りに捻転しており,乳白色の腹水を伴っていた。捻転した小腸と腸間膜は乳白色に変化していたが虚血性の変化は認めず捻転を解除し手術を終了した。腹水中のtriglyceride値は1,192mg/dLと高値であり乳糜腹水を伴う小腸軸捻転と診断した。乳糜腹水を伴う絞扼性イレウスはまれな疾患で,しばしば上部消化管手術後の発...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 38; no. 7; pp. 1137 - 1140
Main Authors 真鍋, 高宏, 堀川, 直樹, 所, 智和, 宮永, 章平, 馬渡, 俊樹, 福島, 亘, 薮下, 和久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2018
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Summary:症例は88歳の男性で,48歳時に胃潰瘍の診断で幽門側胃切除術,Billroth Ⅰ法再建術を施行されていた。突然の嘔吐と腹痛を主訴に救急搬送された。造影CT検査でwhirl signおよび腹水の貯留を認め,絞扼性イレウスを疑い緊急手術を施行した。開腹すると小腸は上腸間膜動脈を軸に反時計回りに捻転しており,乳白色の腹水を伴っていた。捻転した小腸と腸間膜は乳白色に変化していたが虚血性の変化は認めず捻転を解除し手術を終了した。腹水中のtriglyceride値は1,192mg/dLと高値であり乳糜腹水を伴う小腸軸捻転と診断した。乳糜腹水を伴う絞扼性イレウスはまれな疾患で,しばしば上部消化管手術後の発生が報告されている。術後の体重減少や再建後の解剖学的変化が誘因となっている可能性が考えられた。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.38.1137