小児空腸壁内血腫の1例

外傷性空腸壁内血腫は非常に稀な疾患である. 症例は12歳,男児,自転車で転倒し,受傷後2日目に腹痛を主訴に救急外来を受診した.腹部超音波検査,CTで近位空腸の壁内血腫瘍を認めたため,本疾患と確定診断した.外傷性空腸壁内血腫の治療については,腸管穿孔や他臓器損傷が無い場合は保存的治療が主流になっており,平均10~14日で腸閉塞症状は血腫が吸収されることにより解除される.腹膜刺激症状を認めず,全身状態が落ち着いていたため,保存的加療を選択した.経過中,壁内血腫の感染をきたし,引き続き腸閉塞となったため,開腹術を行った. 臨床症状,超音波検査,CT検査等の画像の変化を経時的に注意深く観察していく必要...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 1; pp. 93 - 96
Main Authors 大石, 達郎, 小山, 隆司, 宮本, 勝文, 栗栖, 茂, 堀口, 英久, 高橋, 英幸, 梅木, 雅彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2011
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.72.93

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Summary:外傷性空腸壁内血腫は非常に稀な疾患である. 症例は12歳,男児,自転車で転倒し,受傷後2日目に腹痛を主訴に救急外来を受診した.腹部超音波検査,CTで近位空腸の壁内血腫瘍を認めたため,本疾患と確定診断した.外傷性空腸壁内血腫の治療については,腸管穿孔や他臓器損傷が無い場合は保存的治療が主流になっており,平均10~14日で腸閉塞症状は血腫が吸収されることにより解除される.腹膜刺激症状を認めず,全身状態が落ち着いていたため,保存的加療を選択した.経過中,壁内血腫の感染をきたし,引き続き腸閉塞となったため,開腹術を行った. 臨床症状,超音波検査,CT検査等の画像の変化を経時的に注意深く観察していく必要がある.病悩期間をいたずらに延ばすことなく手術時期,術式の決定が必要であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.72.93