単孔式腹腔鏡下に治療したDouglas窩腹膜欠損部に生じた内ヘルニアの1例

症例は41歳,女性.夕食後からの腹痛・嘔吐を主訴に前医を受診し,腸閉塞の疑いで当院へ紹介受診となった.腹部造影CTで小腸閉塞と診断,骨盤内子宮背側で回腸の口径変化を認めたが,狭窄の原因は不明であった.イレウス管による保存的治療で改善せず,診断を兼ねて単孔式腹腔鏡下に手術を施行した.術中所見では,遠位回腸がDouglas窩右側へRichter型に嵌頓していた.陥入小腸を還納し血流障害の無いことを確認した後,ヘルニア門となっていたDouglas窩の腹膜欠損部を腹腔鏡下に縫合閉鎖し手術を終了した.術後経過は良好で,術後10日目に退院となった.Douglas窩腹膜欠損部に生じた内ヘルニアの報告例は少な...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 6; pp. 1244 - 1249
Main Authors 三浦, 亮, 向谷, 充宏, 野田, 愛, 中山, 健太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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Summary:症例は41歳,女性.夕食後からの腹痛・嘔吐を主訴に前医を受診し,腸閉塞の疑いで当院へ紹介受診となった.腹部造影CTで小腸閉塞と診断,骨盤内子宮背側で回腸の口径変化を認めたが,狭窄の原因は不明であった.イレウス管による保存的治療で改善せず,診断を兼ねて単孔式腹腔鏡下に手術を施行した.術中所見では,遠位回腸がDouglas窩右側へRichter型に嵌頓していた.陥入小腸を還納し血流障害の無いことを確認した後,ヘルニア門となっていたDouglas窩の腹膜欠損部を腹腔鏡下に縫合閉鎖し手術を終了した.術後経過は良好で,術後10日目に退院となった.Douglas窩腹膜欠損部に生じた内ヘルニアの報告例は少なく,単孔式腹腔鏡下手術での治療例は自験例が初めてであった.単孔式腹腔鏡下手術は低侵襲で整容性に優れており,特に若年で全身状態が良好な症例において有用な治療法であると考えられた.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.1244