乳頭乳輪温存乳房切除およびインプラント再建後の乳房Paget病の1例

今回われわれは,乳頭乳輪温存乳房切除術およびインプラント乳房再建術施行後にPaget病を発症した,極めてまれな症例を経験したので報告する.症例は62歳,女性.当院で右乳癌(T2N0M0 Stage II A)に対し,右乳頭乳輪温存乳房切除術,センチネルリンパ節生検およびティッシュエキスパンダー挿入術を施行され,術後2年目にインプラントへの入れ替えが行われた.術後6年間ホルモン療法(アナストロゾール)が行われ,その後は当科定期外来受診で経過観察となっていた.術後9年目に右乳頭周囲に発赤とびらんが出現し,皮膚生検を受けたところPaget病と診断された.右乳頭乳輪切除およびセンチネルリンパ節生検が施...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 8; pp. 1471 - 1475
Main Authors 三輪, 武史, 松井, 恒志, 藤井, 努, 星野, 由維, 長田, 拓哉, 魚谷, 倫史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.1471

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Summary:今回われわれは,乳頭乳輪温存乳房切除術およびインプラント乳房再建術施行後にPaget病を発症した,極めてまれな症例を経験したので報告する.症例は62歳,女性.当院で右乳癌(T2N0M0 Stage II A)に対し,右乳頭乳輪温存乳房切除術,センチネルリンパ節生検およびティッシュエキスパンダー挿入術を施行され,術後2年目にインプラントへの入れ替えが行われた.術後6年間ホルモン療法(アナストロゾール)が行われ,その後は当科定期外来受診で経過観察となっていた.術後9年目に右乳頭周囲に発赤とびらんが出現し,皮膚生検を受けたところPaget病と診断された.右乳頭乳輪切除およびセンチネルリンパ節生検が施行され,現在経過観察となっている.Paget病は比較的まれな病態であるが,乳頭乳輪を温存する場合はPaget病発症の可能性も念頭に置き,慎重に適応を検討し,術後も長期にフォローアップしていく必要があると考えられる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.1471