20歳女性に発症したomental-mesenteric myxoid hamartomaの1例

症例は20歳,女性.腹部腫瘤を主訴に近医を受診し,腹部CTで径14cmの骨盤内腫瘤を指摘された.画像検索の結果,胃大網動脈から分枝した動脈が流入する粘液成分を含有する充実性腫瘤とされた.大網由来の間葉系腫瘍と診断し,診断・治療目的で摘出手術を施行した.術中所見では,大網からの血管流入を認める被膜に覆われた弾性軟の腫瘤を認め,流入血管結紮切離後に摘出を施行した.肉眼所見では白色被膜に包まれたspongy myxoid tumorであった.病理組織学検査では核異型の乏しいspindle nucleusの間葉系細胞が主体の腫瘍であり,免疫染色でGISTや神経原性腫瘍は否定的とされた.文献検索の結果,...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 5; pp. 1112 - 1116
Main Authors 上村, 良, 上野, 剛平, 宇山, 志朗, 加藤, 博明, 小野, 一雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は20歳,女性.腹部腫瘤を主訴に近医を受診し,腹部CTで径14cmの骨盤内腫瘤を指摘された.画像検索の結果,胃大網動脈から分枝した動脈が流入する粘液成分を含有する充実性腫瘤とされた.大網由来の間葉系腫瘍と診断し,診断・治療目的で摘出手術を施行した.術中所見では,大網からの血管流入を認める被膜に覆われた弾性軟の腫瘤を認め,流入血管結紮切離後に摘出を施行した.肉眼所見では白色被膜に包まれたspongy myxoid tumorであった.病理組織学検査では核異型の乏しいspindle nucleusの間葉系細胞が主体の腫瘍であり,免疫染色でGISTや神経原性腫瘍は否定的とされた.文献検索の結果,omental-mesenteric myxoid hamartoma(OMMH)と診断された.OMMHは報告例の極めて少ない稀な疾患であり,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.1112