ステロイド長期内服患者の多発肋骨骨折に対する外固定の1例

Wegener肉芽腫症に対してステロイド長期投与を受けていた患者の転落による多発外傷例を経験した。症例は49歳の男性。来院時,頻呼吸,ショック状態であった。来院後呼吸状態はさらに悪化し,疼痛も強くショックに伴って不穏状態となったため救急外来で気管挿管,胸腔ドレナージを施行した。その後,脾損傷に対し緊急脾動脈塞栓術を行った。多発肋骨骨折に対しては鎮静・鎮痛の上,人工呼吸下で保存的に加療したが1週間経過後も高い呼気終末陽圧を要する状態が続いた。第7病日から区域麻酔を併用したが人工呼吸器からの離脱が困難であり,第15病日に観血的肋骨固定術を施行した。術後は経過良好で第60病日に退院となった。Flai...

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Published in日本救急医学会雑誌 Vol. 24; no. 7; pp. 453 - 457
Main Authors 宇根, 一暢, 山賀, 聡之, 藤崎, 成至, 谷川, 攻一, 中川, 五男, 江藤, 高陽
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本救急医学会 2013
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ISSN0915-924X
1883-3772
DOI10.3893/jjaam.24.453

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Summary:Wegener肉芽腫症に対してステロイド長期投与を受けていた患者の転落による多発外傷例を経験した。症例は49歳の男性。来院時,頻呼吸,ショック状態であった。来院後呼吸状態はさらに悪化し,疼痛も強くショックに伴って不穏状態となったため救急外来で気管挿管,胸腔ドレナージを施行した。その後,脾損傷に対し緊急脾動脈塞栓術を行った。多発肋骨骨折に対しては鎮静・鎮痛の上,人工呼吸下で保存的に加療したが1週間経過後も高い呼気終末陽圧を要する状態が続いた。第7病日から区域麻酔を併用したが人工呼吸器からの離脱が困難であり,第15病日に観血的肋骨固定術を施行した。術後は経過良好で第60病日に退院となった。Flail chestの患者において,前側方の骨折などで内固定により固定が得られにくい場合や肺炎などの合併症を生じやすい高齢者や,ステロイド長期内服など易感染性患者では早期から外固定を考慮すべきである。
ISSN:0915-924X
1883-3772
DOI:10.3893/jjaam.24.453