前治療歴のない胆管細胞由来肝原発肉腫の一切除例

症例は41歳女性,右上腹部痛と微熱を主訴に近医受診,造影CTで肝膿瘍が疑われ当院へ紹介された.超音波検査でB-modeで肝S8ドーム下に辺縁不整で内部不均一な50 mm大の充実性腫瘤として描出され,造影超音波検査で多血性悪性腫瘍を疑った.Dynamic CTでは,動脈相で周囲が淡く造影され内部はhypovascularな横隔膜浸潤を伴った腫瘍として描出された.FDG-PET/CTでは腫瘍部にFDGの集積(SUV max 13.7)と,右心横隔膜角,右内胸,右鎖骨上リンパ節にもFDG集積がみられ,肉腫など悪性腫瘍を疑った.入院6日目に開腹手術を施行,開腹時に肝被膜下出血所見もみられた.切除標本の...

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Published in肝臓 Vol. 57; no. 5; pp. 242 - 251
Main Authors 中西, 公王, 河崎, 秀樹, 植木, 秀太朗, 前田, 智治, 年森, 明子, 道堯, 浩二郎, 平岡, 淳, 壺内, 栄治, 山子, 泰加, 畔元, 信明, 須賀, 義文, 浅木, 彰則, 宮本, 勇次, 宮田, 英樹, 二宮, 朋之, 相引, 利彦, 富田, 英臣, 金藤, 美帆, 奥平, 知成
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2016
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.57.242

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Summary:症例は41歳女性,右上腹部痛と微熱を主訴に近医受診,造影CTで肝膿瘍が疑われ当院へ紹介された.超音波検査でB-modeで肝S8ドーム下に辺縁不整で内部不均一な50 mm大の充実性腫瘤として描出され,造影超音波検査で多血性悪性腫瘍を疑った.Dynamic CTでは,動脈相で周囲が淡く造影され内部はhypovascularな横隔膜浸潤を伴った腫瘍として描出された.FDG-PET/CTでは腫瘍部にFDGの集積(SUV max 13.7)と,右心横隔膜角,右内胸,右鎖骨上リンパ節にもFDG集積がみられ,肉腫など悪性腫瘍を疑った.入院6日目に開腹手術を施行,開腹時に肝被膜下出血所見もみられた.切除標本の病理組織では腫瘍組織は紡錘形細胞,多辺形細胞が増殖し肉腫様組織であった.CAM5.2(+),Vimentin(+),CK7(+),CK19(-),Hepatocyte(-)で胆管細胞由来の肉腫と診断した.胆管細胞癌はそれ自体比較的予後不良な癌腫であるが,その肉腫様変化は極めて稀でさらに予後不良である.被膜外進展,腫瘍出血を来した胆管細胞由来の肝原発肉腫の一例を経験したので報告する.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.57.242