トブラマイシン吸入療法で人工呼吸器離脱が可能となった難治性緑膿菌気道感染の1例

緑膿菌による人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia, VAP)は再発率が高い。VAPを繰り返す難治性の緑膿菌気道感染に対し,トブラマイシンの吸入療法にて改善した症例を経験したので報告する。症例は66歳,男性。作業中に右前腕を受傷し緊急手術を施行された。術後,VAPを発症して呼吸不全の状態が続き,当院集中治療部に転院となった。ICU入室57日目に気管支液から緑膿菌が検出され,以後,緑膿菌による肺炎を繰り返して人工呼吸器からの離脱が困難となった。入室192日目から難治性の慢性緑膿菌気道感染に対する維持療法としてトブラマイシンの吸入療法を開始した。その後,...

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Published in日本集中治療医学会雑誌 Vol. 22; no. 2; pp. 122 - 126
Main Authors 蒲原, 英伸, 田代, 貴大, 興梠, 博次, 山口, 絵美, 廣佐古, 進, 木下, 順弘, 鷺島, 克之, 右山, 洋平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本集中治療医学会 2015
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ISSN1340-7988
1882-966X
DOI10.3918/jsicm.22.122

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Summary:緑膿菌による人工呼吸器関連肺炎(ventilator-associated pneumonia, VAP)は再発率が高い。VAPを繰り返す難治性の緑膿菌気道感染に対し,トブラマイシンの吸入療法にて改善した症例を経験したので報告する。症例は66歳,男性。作業中に右前腕を受傷し緊急手術を施行された。術後,VAPを発症して呼吸不全の状態が続き,当院集中治療部に転院となった。ICU入室57日目に気管支液から緑膿菌が検出され,以後,緑膿菌による肺炎を繰り返して人工呼吸器からの離脱が困難となった。入室192日目から難治性の慢性緑膿菌気道感染に対する維持療法としてトブラマイシンの吸入療法を開始した。その後,気管支液中の緑膿菌数および気道感染増悪の頻度は減少し,入室260日目に人工呼吸器を離脱できた。トブラマイシン吸入療法は安全性が高く,緑膿菌によるVAP再発の制御に有効である可能性が示唆された。
ISSN:1340-7988
1882-966X
DOI:10.3918/jsicm.22.122