腹腔鏡で診断・治療した虫垂巻絡による絞扼性イレウスの1例

症例は37歳,女性.開腹歴はない.腹痛を主訴に救急外来を受診し,腹部造影CT検査でイレウスと診断したため精査加療目的に入院した.腹部所見は保存的加療で改善傾向であったが,画像診断でclosed loopを認めイレウスの原因も特定できなかったため,入院6日目に手術を施行した.腹腔鏡下に腹腔内を観察したところ虫垂先端が右骨盤壁に固着し絞扼帯を形成しており,回腸が緩やかに絞扼されていた.虫垂の回腸巻絡による絞扼性イレウスと診断し,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.回腸の壊死は認めず,腸管切除は不要であった.術後合併症なく経過し,術後5日目に退院した.虫垂巻絡による絞扼性イレウスは稀な病態であり,特に腹腔...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 77; no. 7; pp. 1697 - 1700
Main Authors 田, 鍾寛, 古嶋, 薫, 鳥谷, 建一郎, 針原, 康, 風見, 由祐, 渡辺, 一輝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2016
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.77.1697

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Summary:症例は37歳,女性.開腹歴はない.腹痛を主訴に救急外来を受診し,腹部造影CT検査でイレウスと診断したため精査加療目的に入院した.腹部所見は保存的加療で改善傾向であったが,画像診断でclosed loopを認めイレウスの原因も特定できなかったため,入院6日目に手術を施行した.腹腔鏡下に腹腔内を観察したところ虫垂先端が右骨盤壁に固着し絞扼帯を形成しており,回腸が緩やかに絞扼されていた.虫垂の回腸巻絡による絞扼性イレウスと診断し,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.回腸の壊死は認めず,腸管切除は不要であった.術後合併症なく経過し,術後5日目に退院した.虫垂巻絡による絞扼性イレウスは稀な病態であり,特に腹腔鏡下手術で診断,治療した報告は少ないため,若干の文献的考察を交えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.77.1697