中国残留孤児の失語症
日本語と中国語のbilingual aphasia の1例を紹介する。3歳で中国に渡り8歳まで日本語を話したが,終戦でその後中国に残留し,35歳で日本に帰国した男性が48歳で重度の運動失語になった。この失語回復を2年間観察したが,中国語の方が日本語より良好であった。そして言語機能は聴覚的理解と読解で回復はみられたが,発語と書字は実用的回復にいたらなかった。読解は漢字 (中国語) で可能になったが,「ひらがな」ではほとんど不可能であった。言語理解は乗物と飲食物に関するもので成績がよかったが,これは病前の趣味 (旅行) と職業 (中華料理店) が関係していると考えられた。これに関連して,二 (多)...
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Published in | 失語症研究 Vol. 10; no. 3; pp. 183 - 190 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
1990
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Summary: | 日本語と中国語のbilingual aphasia の1例を紹介する。3歳で中国に渡り8歳まで日本語を話したが,終戦でその後中国に残留し,35歳で日本に帰国した男性が48歳で重度の運動失語になった。この失語回復を2年間観察したが,中国語の方が日本語より良好であった。そして言語機能は聴覚的理解と読解で回復はみられたが,発語と書字は実用的回復にいたらなかった。読解は漢字 (中国語) で可能になったが,「ひらがな」ではほとんど不可能であった。言語理解は乗物と飲食物に関するもので成績がよかったが,これは病前の趣味 (旅行) と職業 (中華料理店) が関係していると考えられた。これに関連して,二 (多) 国語使用者の失語回復について若干の考察を試みた。 |
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ISSN: | 0285-9513 1880-6716 |
DOI: | 10.2496/apr.10.183 |