類上皮型GISTとの鑑別に苦慮した肝細胞癌腹膜転移の1例

患者は74歳の女性.肝細胞癌(以下:HCC)破裂に対し緊急肝動脈塞栓術を行い,2カ月後に肝外側区域切除術を施行した.術後6年目にPIVKA-IIの高値と上部消化管内視鏡(以下:EGD)による胃小弯前壁の粘膜下腫瘤を認め,増大傾向であった.生検による免疫組織学的検査ではKIT陰性,DOG1陽性であり,類上皮型GISTと診断したため,胃部分切除術を施行した.臨床病理診断はHCCの腹膜転移再発と考えられた.HCCの肝外再発は4.85%と稀であり,ガイドラインではSorafenib投与が推奨されている.しかし,HCCの腹膜転移再発は初回手術後1カ月~10年と様々であり,外科的切除術のみで長期生存したと...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 76; no. 7; pp. 1756 - 1760
Main Authors 笹子, 三津留, 菊池, 正二郎, 大嶋, 勉, 竹村, 雅至, 廣田, 誠一, 小澤, りえ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2015
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.76.1756

Cover

More Information
Summary:患者は74歳の女性.肝細胞癌(以下:HCC)破裂に対し緊急肝動脈塞栓術を行い,2カ月後に肝外側区域切除術を施行した.術後6年目にPIVKA-IIの高値と上部消化管内視鏡(以下:EGD)による胃小弯前壁の粘膜下腫瘤を認め,増大傾向であった.生検による免疫組織学的検査ではKIT陰性,DOG1陽性であり,類上皮型GISTと診断したため,胃部分切除術を施行した.臨床病理診断はHCCの腹膜転移再発と考えられた.HCCの肝外再発は4.85%と稀であり,ガイドラインではSorafenib投与が推奨されている.しかし,HCCの腹膜転移再発は初回手術後1カ月~10年と様々であり,外科的切除術のみで長期生存したとの報告もある.初回手術後6年目に発症したGISTと鑑別困難であったHCC手術後6年目の腹膜転移再発症例について,診断的問題点と治療方針に関する検討を行った.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.76.1756