Cotton fiberでの脳動脈瘤のラッピング後の異物性肉芽形成について 親血管が閉塞した1例を含む4例の報告

「はじめに」ネッククリッピングができない症例に対しラッピングが行われるが, これにより破裂脳動脈瘤の再出血率は保存的治療群の50%から17%まで低下させることができる. ラッピングの材料としては, 筋膜や硬膜は1, 2カ月後には吸収されるため不適当であり, シアノアクリレートのような接着剤も生体内での分解による強度低下が問題である. cotton fiberはその網状構造の中に線維組織が入り込み血管壁を強く補強するため広く用いられているが他方, それによる異物性肉芽腫も報告されている. 我々はcotton fiberでの脳動脈瘤のラッピング後, 1例において異物性肉芽腫によつて親血管が閉塞する...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 24; no. 4; pp. 313 - 317
Main Authors 雄山, 博文, 木田, 義久, 田中, 孝幸, 丹羽, 政宏, 前沢, 聡, 小林, 達也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 30.07.1996
日本脳卒中の外科研究会
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Summary:「はじめに」ネッククリッピングができない症例に対しラッピングが行われるが, これにより破裂脳動脈瘤の再出血率は保存的治療群の50%から17%まで低下させることができる. ラッピングの材料としては, 筋膜や硬膜は1, 2カ月後には吸収されるため不適当であり, シアノアクリレートのような接着剤も生体内での分解による強度低下が問題である. cotton fiberはその網状構造の中に線維組織が入り込み血管壁を強く補強するため広く用いられているが他方, それによる異物性肉芽腫も報告されている. 我々はcotton fiberでの脳動脈瘤のラッピング後, 1例において異物性肉芽腫によつて親血管が閉塞するという重大な合併症を経験したため, 他の3例とともに報告する. 「症例」過去2年間にラッピングのみを行つた脳動脈瘤が4例あり, 2例に異物性の肉芽腫形成を, また別の2例に炎症性の肉芽反応を疑わせる画像上の所見が見られた.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs1987.24.4_313