一時的ステントにて改善した食道癌術後早期胃管狭窄の1例

症例は76歳,男性.胸部下部食道癌の診断とされ,術前化学療法としてDCF療法を施行後,胸腔鏡腹腔鏡下胸部食道亜全摘術を施行した.再建は胸骨後経路頸部食道胃管再建を行った.術後反回神経麻痺を認めず,嚥下に問題もないため,術後7日目に経口摂取を開始した.術後9日目に嘔吐し,胸部X線上,胃管の拡張を認めた.経鼻胃管を挿入し症状は改善したが,経鼻胃管抜去により胃管拡張が再発した.CT上,胃管の捻じれはなく,たわみによる胃管の屈曲と診断した.一時的にself-expandable metallic stent (SEMS)を留置し,症状は改善し経口摂取可能となった.その後,頸部食道胃管吻合部狭窄を認め,...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 8; pp. 1460 - 1464
Main Authors 村川, 力彦, 大野, 耕一, 倉谷, 友崇, 桒原, 尚太, 和田, 秀之, 加藤, 航平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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Summary:症例は76歳,男性.胸部下部食道癌の診断とされ,術前化学療法としてDCF療法を施行後,胸腔鏡腹腔鏡下胸部食道亜全摘術を施行した.再建は胸骨後経路頸部食道胃管再建を行った.術後反回神経麻痺を認めず,嚥下に問題もないため,術後7日目に経口摂取を開始した.術後9日目に嘔吐し,胸部X線上,胃管の拡張を認めた.経鼻胃管を挿入し症状は改善したが,経鼻胃管抜去により胃管拡張が再発した.CT上,胃管の捻じれはなく,たわみによる胃管の屈曲と診断した.一時的にself-expandable metallic stent (SEMS)を留置し,症状は改善し経口摂取可能となった.その後,頸部食道胃管吻合部狭窄を認め,内視鏡的拡張術を施行.狭窄が改善した後,ステント留置41日目にステント抜去した.ステント抜去後も胃管拡張なく経過.術後14カ月,胃管拡張,食道癌の再発なく経過している.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.1460