GCDFP-15免疫染色にて乳癌原発と診断した多臓器転移癌の1例

症例は53歳,女性.9カ月前から頸部違和感を自覚して近医整形外科を受診.頸椎X線写真撮影にて転移性骨腫瘍を認め,当院紹介となった.造影CT・PET-CTでは多発骨・肝転移を認めたが,原発巣は不明であった.上部消化管内視鏡検査では胃にびらんが多発,十二指腸に発赤・白斑を認め,生検の結果,低分化腺癌を認め,既存の腺管が残存していることから,転移性腫瘍が疑われた.追加の免疫組織化学染色でGCDFP-15が一部陽性であったため,乳癌が疑われ,MRIにて右C・D領域にそれぞれ0.6cm・0.8cmの腫瘤を認めた.MRIガイド下生検の結果,浸潤性小葉癌の診断であった.確定診断後weekly PTX,FEC...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 8; pp. 1721 - 1725
Main Authors 大谷, 彰一郎, 高田, 晋一, 藤原, みわ, 吉村, 友里, 守都, 敏晃, 金, 敬徳, 伊藤, 充矢, 梶原, 友紀子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2017
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.78.1721

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Summary:症例は53歳,女性.9カ月前から頸部違和感を自覚して近医整形外科を受診.頸椎X線写真撮影にて転移性骨腫瘍を認め,当院紹介となった.造影CT・PET-CTでは多発骨・肝転移を認めたが,原発巣は不明であった.上部消化管内視鏡検査では胃にびらんが多発,十二指腸に発赤・白斑を認め,生検の結果,低分化腺癌を認め,既存の腺管が残存していることから,転移性腫瘍が疑われた.追加の免疫組織化学染色でGCDFP-15が一部陽性であったため,乳癌が疑われ,MRIにて右C・D領域にそれぞれ0.6cm・0.8cmの腫瘤を認めた.MRIガイド下生検の結果,浸潤性小葉癌の診断であった.確定診断後weekly PTX,FEC,Eribulinを投与し,肝転移は消失,腫瘍マーカーも低下傾向である.GCDFP-15は乳癌において特異度95%とされ,原発不明癌の場合,陽性であれば乳癌からの転移を疑う必要があると考えられる.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.78.1721