脾原発孤立性髄外性形質細胞腫の1例

症例は76歳,男性.検診の腹部超音波検査で脾腫瘍を指摘され,当科紹介となった.自覚症状や腫瘍マーカーの上昇はなく,造影CTでは脾臓に孤立性の内部不均一で境界明瞭な46mm大の腫瘤性病変を認めた.術前診断で過誤腫が第一に推察されたが,悪性リンパ腫も否定できず,脾臓摘出術を施行した.病理組織検査では,びまん性密な車軸核を有する形質細胞が充実性に増殖していた.術後尿中Bence-Jones蛋白を認めず,脾臓原発の孤立性髄外性形質細胞腫(solitary extramedullary plasmacytoma;以下solitary EMP)の診断を得た.現在も無治療で無再発生存中である.本疾患は形質細...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 80; no. 6; pp. 1234 - 1238
Main Authors 橋本, 明彦, 吉田, 寛, 浅野, 重之, 新谷, 史明, 町野, 翔, 川口, 信哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2019
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.80.1234

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Summary:症例は76歳,男性.検診の腹部超音波検査で脾腫瘍を指摘され,当科紹介となった.自覚症状や腫瘍マーカーの上昇はなく,造影CTでは脾臓に孤立性の内部不均一で境界明瞭な46mm大の腫瘤性病変を認めた.術前診断で過誤腫が第一に推察されたが,悪性リンパ腫も否定できず,脾臓摘出術を施行した.病理組織検査では,びまん性密な車軸核を有する形質細胞が充実性に増殖していた.術後尿中Bence-Jones蛋白を認めず,脾臓原発の孤立性髄外性形質細胞腫(solitary extramedullary plasmacytoma;以下solitary EMP)の診断を得た.現在も無治療で無再発生存中である.本疾患は形質細胞腫の中でも稀で,上気道や下気道,消化管に局在することが多い.脾臓原発のsolitary EMPは本邦の報告は極めて少ない.われわれは非常に稀な症例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.80.1234