わが国における百日咳の疫学的研究

百日咳の疫学的研究には, 臨床的に百日咳と診断した症例について, 菌分離によって確認した例を対象とした研究が必要である. 1973~74年に厚生科学研究費による百日咳の疫学に関する研究班によって百日咳菌分離による確認患者調査を行い, 臨床症状の分析と当時のワクチンであった全菌体百日咳ワクチンの有効性に関する評価を行った. 1988年から1992年の5年間前回と同様に, 百日咳の疫学およびワクチンの有効性の評価に関する研究班を組織し, 全国的に菌分離によって確認した百日咳患者についての臨床的, 疫学的研究を行った.今回の調査は無菌体百日咳ワクチンに切り替えられて以来初めての全国調査である.今回の...

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Published in感染症学雑誌 Vol. 70; no. 1; pp. 19 - 28
Main Authors 佐藤, 勇治, 舟橋, 満, 堺, 春美, 国田, 信治, 磯村, 思无, 木村, 三生夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本感染症学会 01.01.1996
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ISSN0387-5911
1884-569X
DOI10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.19

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Summary:百日咳の疫学的研究には, 臨床的に百日咳と診断した症例について, 菌分離によって確認した例を対象とした研究が必要である. 1973~74年に厚生科学研究費による百日咳の疫学に関する研究班によって百日咳菌分離による確認患者調査を行い, 臨床症状の分析と当時のワクチンであった全菌体百日咳ワクチンの有効性に関する評価を行った. 1988年から1992年の5年間前回と同様に, 百日咳の疫学およびワクチンの有効性の評価に関する研究班を組織し, 全国的に菌分離によって確認した百日咳患者についての臨床的, 疫学的研究を行った.今回の調査は無菌体百日咳ワクチンに切り替えられて以来初めての全国調査である.今回の研究班の調査により, (1) 百日咳菌型1-3がなお主流を占めていること, (2) 患者の実態は, 0歳と1歳児が患者の大部分を占め, 入院率も高く, 死亡例もあることから, この年齢層にワクチン接種の重点をおくべきこと, (3) 全菌体百日咳ワクチンの当時とくらべ, 現行の無菌体百日咳ワクチンになってからは, ワクチンの有効性が高い, ことが明らかとなった.
ISSN:0387-5911
1884-569X
DOI:10.11150/kansenshogakuzasshi1970.70.19