多発肝膿瘍を伴った胃GISTの1例
症例は60歳,男性.発熱と全身倦怠感を主訴に当院を紹介受診した.上部消化管内視鏡検査で胃体上部にgastrointestinal stromal tumor(GIST)を疑う4cm大の粘膜下腫瘍を認めた.腹部CT,MRI検査で肝右葉に多発性嚢胞性腫瘍を認めた.臨床所見とCT,MRIからは肝膿瘍を疑ったが,腹部超音波検査では充実性腫瘍の所見であり,GISTの肝転移の可能性も否定できず,胃部分切除と肝拡大右葉切除を行った.病理検査の結果,胃粘膜下腫瘍は中リスクのGISTと診断された.肝腫瘍には悪性所見は認めず,肝膿瘍と診断された.膿瘍の原因菌は特定できなかった.術後経過は良好で,現在無再発生存中で...
Saved in:
Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 72; no. 1; pp. 67 - 73 |
---|---|
Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2011
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.72.67 |
Cover
Summary: | 症例は60歳,男性.発熱と全身倦怠感を主訴に当院を紹介受診した.上部消化管内視鏡検査で胃体上部にgastrointestinal stromal tumor(GIST)を疑う4cm大の粘膜下腫瘍を認めた.腹部CT,MRI検査で肝右葉に多発性嚢胞性腫瘍を認めた.臨床所見とCT,MRIからは肝膿瘍を疑ったが,腹部超音波検査では充実性腫瘍の所見であり,GISTの肝転移の可能性も否定できず,胃部分切除と肝拡大右葉切除を行った.病理検査の結果,胃粘膜下腫瘍は中リスクのGISTと診断された.肝腫瘍には悪性所見は認めず,肝膿瘍と診断された.膿瘍の原因菌は特定できなかった.術後経過は良好で,現在無再発生存中である.胃GISTに肝膿瘍を合併した報告は少なく,貴重な症例と考えられたため,文献的考察を加えて報告する. |
---|---|
ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.72.67 |