放射線治療32年後に喉頭壊死を生じた喉頭癌の1例
喉頭癌に対する放射線治療の重篤な晩期障害の1つとして喉頭壊死がある。喉頭壊死は晩期障害の中では比較的早期に発症することが多いが,今回われわれは放射線治療32年後に発症した遅発性喉頭壊死症例を経験したので報告する。症例は91歳男性,1977年に喉頭癌T2の診断でγ線(60Co)の放射線治療を施行された。32年後に慢性炎症を契機に喀血と,これによる気道閉塞による呼吸停止が生じ,緊急対応後の精査で遅発性の喉頭壊死と診断した。気道確保と保存的治療の結果,音声機能は温存可能であったが,嚥下機能は喪失し経口摂取は困難となった。放射線治療の長期経過後の喉頭壊死症例では,保存的治療での対応も可能であるが,喉頭...
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Published in | 頭頸部外科 Vol. 22; no. 1; pp. 81 - 85 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
2012
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Subjects | |
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ISSN | 1349-581X 1884-474X |
DOI | 10.5106/jjshns.22.81 |
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Summary: | 喉頭癌に対する放射線治療の重篤な晩期障害の1つとして喉頭壊死がある。喉頭壊死は晩期障害の中では比較的早期に発症することが多いが,今回われわれは放射線治療32年後に発症した遅発性喉頭壊死症例を経験したので報告する。症例は91歳男性,1977年に喉頭癌T2の診断でγ線(60Co)の放射線治療を施行された。32年後に慢性炎症を契機に喀血と,これによる気道閉塞による呼吸停止が生じ,緊急対応後の精査で遅発性の喉頭壊死と診断した。気道確保と保存的治療の結果,音声機能は温存可能であったが,嚥下機能は喪失し経口摂取は困難となった。放射線治療の長期経過後の喉頭壊死症例では,保存的治療での対応も可能であるが,喉頭が温存できても機能喪失の可能性が大きいと思われた。 |
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ISSN: | 1349-581X 1884-474X |
DOI: | 10.5106/jjshns.22.81 |