小腸内視鏡検査にて術前診断しえた腹部鈍的外傷後の遅発性小腸狭窄の1例

要旨:症例は48歳の男性で,野球中に腹部を強打し,受傷より3週間後にイレウスの診断で当院へ紹介となった。外傷歴と小腸内視鏡検査を含む諸検査から腹部鈍的外傷後の遅発性小腸狭窄を疑った。ダブルバルーン小腸内視鏡検査にて狭窄部の拡張は困難で,受傷日より62日目に開腹手術を行った。Treitz靭帯から200cmの部位で小腸は高度に狭窄し,大網の癒着と腸間膜の肥厚を認めた。狭窄部を含む小腸部分切除術を行い,病理組織学的検査で外傷性の組織損傷が示唆されたため,腹部鈍的外傷による遅発性小腸狭窄と診断した。本疾患において術前に小腸内視鏡検査を施行し,狭窄部を同定した報告は極めてまれなため,文献的考察を加えて報...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 33; no. 6; pp. 1077 - 1080
Main Authors 柴崎, 信一, 富永, 哲郎, 内藤, 慎二, 黨, 和夫, 古川, 克郎, 岡, 忠之, 和田, 英雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 2013
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.33.1077

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Summary:要旨:症例は48歳の男性で,野球中に腹部を強打し,受傷より3週間後にイレウスの診断で当院へ紹介となった。外傷歴と小腸内視鏡検査を含む諸検査から腹部鈍的外傷後の遅発性小腸狭窄を疑った。ダブルバルーン小腸内視鏡検査にて狭窄部の拡張は困難で,受傷日より62日目に開腹手術を行った。Treitz靭帯から200cmの部位で小腸は高度に狭窄し,大網の癒着と腸間膜の肥厚を認めた。狭窄部を含む小腸部分切除術を行い,病理組織学的検査で外傷性の組織損傷が示唆されたため,腹部鈍的外傷による遅発性小腸狭窄と診断した。本疾患において術前に小腸内視鏡検査を施行し,狭窄部を同定した報告は極めてまれなため,文献的考察を加えて報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.33.1077