末期腎不全患者に発症した早期胃内分泌細胞癌の1例
症例は73歳,男性.糖尿病性腎症による末期腎不全にて維持透析を受けている.スクリーニングの便潜血検査で陽性を指摘され上部内視鏡検査を施行したところ,胃前庭部小彎前壁寄りに約3cmの不整な潰瘍性病変を認め,生検にて腺癌の診断であった.CT検査で胆石,総胆管結石を認めたため,まず総胆管結石に対してESTを施行後,幽門側胃切除術および胆嚢摘出術を施行した.術後の病理組織検査にて中分化型管状腺癌の深層の粘膜下層を中心に早期の胃内分泌細胞癌を認めた.免疫組織学的検査ではCD56に陽性を示した.Stage IAの診断であった.現在術後3年,明らかな再発所見なく生存中である.胃内分泌細胞癌は稀な疾患であるが...
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Published in | 日本臨床外科学会雑誌 Vol. 78; no. 6; pp. 1288 - 1291 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床外科学会
2017
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-2843 1882-5133 |
DOI | 10.3919/jjsa.78.1288 |
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Summary: | 症例は73歳,男性.糖尿病性腎症による末期腎不全にて維持透析を受けている.スクリーニングの便潜血検査で陽性を指摘され上部内視鏡検査を施行したところ,胃前庭部小彎前壁寄りに約3cmの不整な潰瘍性病変を認め,生検にて腺癌の診断であった.CT検査で胆石,総胆管結石を認めたため,まず総胆管結石に対してESTを施行後,幽門側胃切除術および胆嚢摘出術を施行した.術後の病理組織検査にて中分化型管状腺癌の深層の粘膜下層を中心に早期の胃内分泌細胞癌を認めた.免疫組織学的検査ではCD56に陽性を示した.Stage IAの診断であった.現在術後3年,明らかな再発所見なく生存中である.胃内分泌細胞癌は稀な疾患であるが,早期より高度な脈管侵襲をきたし,極めて予後不良である.今回われわれは,末期腎不全患者において診断された早期胃内分泌細胞癌を経験したので,文献的考察を加えて報告する. |
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ISSN: | 1345-2843 1882-5133 |
DOI: | 10.3919/jjsa.78.1288 |