腹膜垂出血により出血性ショックをきたした1例

症例は77歳,男性。腹痛を主訴に当院へ救急搬送された。来院時,血圧低下を認めショック状態であった。血液検査で貧血と腎機能障害を認めた。腹部造影CTで腹腔内全体に広がる血性腹水とS状結腸間膜近傍からのextravasationを認め,S状結腸間膜からの腹腔内出血と診断し緊急手術を施行した。開腹すると腹腔内に多量の血腫を認め,出血部位はS状結腸の腹膜垂であった。出血している腹膜垂を刺通結紮し止血を得た。術後肺炎を併発し,人工呼吸器管理となったが軽快。第20病日,前医へ転院となった。腹膜垂から腹腔内のfree spaceへの出血が主病態となる症例は,本邦での報告例はなく,極めてまれな症例であるため報...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 39; no. 7; pp. 1293 - 1295
Main Authors 比嘉, 聡, 平田, 勇一朗, 小野, 武, 仲地, 広美智, 川上, 浩司, 加藤, 航司
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 30.11.2019
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.39.1293

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Summary:症例は77歳,男性。腹痛を主訴に当院へ救急搬送された。来院時,血圧低下を認めショック状態であった。血液検査で貧血と腎機能障害を認めた。腹部造影CTで腹腔内全体に広がる血性腹水とS状結腸間膜近傍からのextravasationを認め,S状結腸間膜からの腹腔内出血と診断し緊急手術を施行した。開腹すると腹腔内に多量の血腫を認め,出血部位はS状結腸の腹膜垂であった。出血している腹膜垂を刺通結紮し止血を得た。術後肺炎を併発し,人工呼吸器管理となったが軽快。第20病日,前医へ転院となった。腹膜垂から腹腔内のfree spaceへの出血が主病態となる症例は,本邦での報告例はなく,極めてまれな症例であるため報告する。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.39.1293