弓部大動脈および胸腹部大動脈に連続して発生した Bacteroides fragilis による感染性動脈瘤の1手術例

症例は67歳,男性.当院泌尿器科でロボット支援下前立腺全摘出術を受け退院したが,術後16日目に39度台の発熱で再入院となった.原因検索のCTで弓部に動脈瘤を認め当科紹介となった.最大径は40 mmであったが入院時の血液培養でBacteroides fragilisが検出されていた.抗生剤をcefotiamからtazobactam piperacillinに変更したが発熱は治まらず,CT再検で瘤の急激な拡大(最大径50 mm)を認め準緊急でrifampicin含浸Dacron graftを用いた弓部全置換術を行った.術後いったん解熱していたが術後9日目に発熱を認めた.CTでは腹腔動脈近傍の胸腹部...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 44; no. 4; pp. 188 - 192
Main Authors 堀井, 泰浩, 中川, さや子, 阪本, 浩助, 山下, 洋一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 2015
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.44.188

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Summary:症例は67歳,男性.当院泌尿器科でロボット支援下前立腺全摘出術を受け退院したが,術後16日目に39度台の発熱で再入院となった.原因検索のCTで弓部に動脈瘤を認め当科紹介となった.最大径は40 mmであったが入院時の血液培養でBacteroides fragilisが検出されていた.抗生剤をcefotiamからtazobactam piperacillinに変更したが発熱は治まらず,CT再検で瘤の急激な拡大(最大径50 mm)を認め準緊急でrifampicin含浸Dacron graftを用いた弓部全置換術を行った.術後いったん解熱していたが術後9日目に発熱を認めた.CTでは腹腔動脈近傍の胸腹部大動脈が瘤化しており,準緊急で胸腹部置換術を行った.2回目の手術前にはFDG-PET/CTを行い,置換範囲の参考とした.術後抗生剤はclindamycin+meropenemを6週間継続し,以後levofloxacin+Metronidazoleの内服に変更し再発は認めていない.Bacteroidesによる感染性動脈瘤は報告が少なく文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.44.188